unity1week「つたえる」開発記録(注茶呑)
この記事は新作ゲーム「注茶呑」の開発記録など雑記です。
unity1week参加
unity1week「つたえる」に参加しました。
このイベントは、与えられたお題を見て1週間でUnityによるゲームを作るというお祭りです。およそ300~500作品のゲームが投稿されます。
作ったゲーム
1週間で「注茶呑」というゲームを作りました。ノリと勢いが取り柄のカジュアルゲーです。3分かからずに終わります。めっちゃ面白いゲームだと自分では思っているので、良かったら遊んでみてください。コメントの評判も結構いいです。
読み方はプレイすればわかります。
注意
ここから先は、注茶呑のネタバレが含まれます。何も知らない状態で遊んだ方が面白いと思うので、必ず先に遊んでから読んでください。繰り返しになりますが、3分かからずに遊べます。万が一3分持ちこたえたら、あなたはスーパープレイヤーです。
準備はいいですか?
アイデア
テーマ
「つたえる」がテーマだったので、「たゆみ」「孤独なアルファ」「7days to end with you」「かるかんばぜーしょん」「SecreTalk」みたいなエモいゲームが作りてぇなーーーーーーと思いながら、アイデアが思いつかずにふて寝していました。
すると目覚めのふにゃふにゃしたときに、突然頭の中で「チューチャードン!!!!!!」という声が聞こえ、同時にゲーム画面も見えたので、それをそのまま作りました。嘘みたいなほんとの話
エモはどこいった?
操作方法
これも最初から見えていました。「チュチャドン!」と可能な限り勢いよく素早く叫ばせるためには、コントローラやマウスの操作速度ではダメで、6本の指を構えさせておくことが必然でした。
最初は左手EDC、右手OKMで固定するつもりだったのですが、人によって気持ちの良いポジションが異なることに思い至り、現在の領域ごとに割り当てる方式に落ち着きました。
全部声
全部声にするつもりは最初は無かったのですが、
- 少なくとも「チュー」「チャー」「ドン」は自分で録らないといけない
- 開始時に「よおっ!」を入れよう
- 「ドドン」がSEだと調和しないから、ここもボイスにするか
- タイトルのタイピング音もボイスにしたら面白くね?
- だったらもう、入りのBGMもボイスにするか
- フィーバーもボイスにしちゃえ!
という感じで、なんか気がついたら全部声になってました。なんで。
この手の邪道の飛び道具って、だいたい作家人生で一度しか使えない切り札の印象あるんですが、Unity1week一発目から使っちゃって今後どうするんですかね?自分にはわかりません。
ボイスが印象的な既存作品については、記事の最後の方に書きます。
Shout
中央に出る漢字とボイスを合わせて、開発中はShoutと呼んでいました。
最初は「チュー」「チャー」「ドン」の1種類の組み合わせしかなかったのですが、ChatGPTくんに何となく聞いてみたところ
あっそうか、チューチャードン以外でもいけるやん!と気付いたので、いろいろ作ることになりました。(ボイスの量産で苦労しましたが、面白くなったのでOKです)
また、最初は「Chu」「チュー」「ちゅう」という漢字以外も含まれていたのですが、なんとなく漢字だけの方が面白い気がしたのと、3文字あると食事の写真に引っかかって視認性が悪くなりめんどくさかったので、漢字だけに統一しました。
フレーバー
ここはぶっちゃけ何でも良かったのですが、一応「つたえる」というテーマがあったことと、AIを使うゲームは大量出現しそうだけどAIに自分がなるゲームはあんまり出てこないだろうという読みで、いろいろこねくり回してこうなりました。
私は逆張りが大好きなのです。
タイトル
これは完全な後付けです。
最初は「チューチャー丼」で、その後「シューチャー丼」と迷ってた時期がありました。ただ、
- 「チャーシュー丼」のひっくり返しかな?と思われるのが嫌
- 可能な限り由来の薄い言葉にしたい
- 「中張牌」と似てて好き
- 由来の薄い言葉にしたいという意図はどこいった?
今2行で矛盾しましたが、とりあえずそんな感じで「チャーチャードン」になりました。「c」音だから「s」より聴き取りやすいのもよかった。漢字は当て字しました。検索したところ「茶呑み」という言葉があるのがちょっと気に掛かりましたが、そこは妥協しました。
ルピシア云々も後付けの戯れ言ですが、ルピシアの福袋を2回買ったのは本当です。手軽にQoLが上がるのでおすすめです。
ゲームシステム
フィーバーで配置が固定になるのは「ぷよぷよフィーバー」から拝借しました。フィーバーに必要な正解数が増えていくのは、Hellsinker.や東方のエクステンドに似てますね。
桜井政博のチャンネルをよく観ていたので「リスクとリターンを盛り込みたい」みたいなことを考えていましたが、こういう反射神経ゲーにおいては速く操作すること自体がリスクになるので、あまり気にしないで良いということが最終的にわかりました。
強いて言えば、フィーバー中にできるだけCCDを稼ごうとして連打するのは、リスクを冒している感じはありますね。
その他、全体的にシステムで特筆すべき点はあんまりないと思います。どこにでもあるカジュアルゲームです。
制作工程
ボイス収録
友人から「録音環境が良い」と言われたので、どうやってボイス制作したかを晒しておきます。先に言っておくと、ググったら出てくる程度の情報しかないです。
機材
ソニーのECM-PCV80Uという4000円ぐらいのマイクを、スタンドのまま机に置いて使ってます。TRPG用に買ったやつです。ポップガードなどは特についてません。オーディオインターフェースなど他の機材は使ってません。
録音
モノラルトラックを作り、Audacityで録音ボタンを押して、いきなり喋って録りました。1週間で時間も無かったし、量産しないといけないし、こんなバカゲーであまり巧さを求めるのも嫌だったので、ほとんど一発録りで済ませました。ただ、音割れしたやつだけはやり直しました。一応腹筋に力を込めて声は張るようにしました。
加工
- トラックの複製
- クリックノイズ除去
- バックグラウンドノイズの除去
- コンプレッサー
- レシオ8:1ぐらいだったと思う
- 「0dBになるようゲインを調整」をチェック
- ノーマライズ
- -1.0dB
- 増幅(ブースト)
- ここが一番重要かつ手間がかかる
- 一つ一つのボイスを聞いて、音量の感じが同じに聞こえるように手動で調整した
- 本当はコンプレッサーをうまいことかければ自動でいけたのかもしれないが、よくわかんなかった
- ループ素材(フィーバーなど)に関しては、始点と終点をフェード
- ラベルトラックの作成
- 波形を拡大して各ボイスを選択し、「選択範囲にラベルをつける」
- 余白があるとボイスの出が遅れるので、サボらない
- ループ素材に関してはリピート再生でループのつながりを念入りに確認する
- このときつけたラベル名が、そのままファイル名になる
- 波形を拡大して各ボイスを選択し、「選択範囲にラベルをつける」
- ラベルトラックが複数ある場合、適用するラベルトラックを一番上に移動する(重要)
- 「複数ファイルの書き出し」
なお、私は音声トラックを20個ぐらい作ったのですが、Audacityが泣くほど重くなったので推奨しません。管理が面倒ですが、音声トラックの数は減らした方がいいと思います。
シャウトの漢字の選定
「漢字辞典オンライン」というサイトを見つけたので、そこで「チュー」に対応する「ウ段」、「チャー」に対応する「ア段」、「ドン」に対応する「オ段」のそれぞれの段の各文字について、手作業で漢字を調べました。同じ発音の漢字が5つ以上ある発音を選び、そこからできるだけめでたい漢字や面白い漢字、読みやすい漢字を選定しました。逆に、響きが面白くても、漢字の種類が少ない発音は排除しました。
最終的に、
- ウ段
- chu
- shu
- bu
- ju
- ryu
- ア段
- cha
- sha
- ya
- ra
- wa
- オ段
- don
- kon
- son
- bon
- mon
の15種類の発音に対して、それぞれ5個~7個ほどの漢字を選定しました。
ゲームバランス
残り時間ゲージの減少速度は、レベルをxとしたとき
- (速度) = 0.08 * Log(0.05x + 0.13) + 0.22
という謎の式で決まっています。
これは、GeoGebraという関数グラフが見れるサイトで、いろいろ関数をこねくり回して作りました。
ゲージの減少速度が決まると、当然各レベル毎のゲージ100%が無くなるまでの制限時間が決まります。制限時間のグラフを一緒に表示して、そのグラフのx={0, 1, 2, 3, 5, 10, 15}の値を出力させて、後はちまちまと式を微調整しました。
(後から考えると、レベル30ぐらいまでは数値決め打ちのハードコーディングで決めた方が、式の制御が簡単で確実だったと思います。ただでさえ1週間しかないわけで……)
最初のレベルはチュートリアルということで、極めて長い時間を与えて操作方法を発見する猶予を持たせました。そして、その後は急速に速度を上げました。ただ、最初のフィーバーには到達してフィーバーボイスを聞いてほしいわけです。最初のフィーバーは10回で到達することになってましたから、そこまでは初心者の方でもいけるぐらいを目指しました。
タスク管理
これは「やかまシルフ」のときと同様、簡単にスプレッドシートでやりました。
本来は、頻度と致命度と容易度の掛け算でソートして対応優先度を決めるのですが、今回は項目数が少なかったので手動でやりました。
工夫した点
最初の数問は「chu」「cha」「don」で統一
いきなり遊んだときに、タイトルの趣旨がよくわかんないと思ったので、最初の数問の発音は固定にしました。
リザルト
CCDと言われてもどのぐらいの価値があるかよくわかんないなと思いました。ここは最近あったアークナイツの三周年記念サイトを丸パクりしました。
文字間隔の調整
これをやるだけで見栄えがかなりよくなったのでおすすめできます。
雰囲気を中華に寄せすぎない
中華パロディを主眼としたゲームにすると面白くないと思ったので、中華と和が7:3ぐらいを狙いました。そのため、中華のメイン色である原色の赤と黄はできるだけ排除しました。また、ボイスをやるときに四声を意識から逸らしたり、極端に中国っぽい漢字は出さないように気を付けました。
良かった点
やかまシルフのときに苦戦した「アイデアフェイズ」と「ロゴ作成」が、どちらも一瞬で終わったのが良かったと思います。おかげで時間に余裕ができ、全体的なクオリティを大きく引き上げることができました。
2日目の時点でゲームのコアは完成していました。
#unity1week とりあえず最後まで遊べるようになった pic.twitter.com/0o50xSmlL9
— まきぬの@新作ゲーム公開 (@makioshibori) 2023年3月21日
反省点
(一部はアップデートで対応済み)
ツイートにunity1weekのハッシュタグを入れるべきだった
ハッシュタグ荒らしになるのが嫌で最初つけてなかったのですが、他の作品はバンバンつけてたのであまり配慮する意味がありませんでした。おかげで初動のバズりで大きく出遅れてしまい、最後まで取り返せなかった印象があります。
最初に画面クリックを促すべきだった
WebGLの仕様上、画面をクリックした後でないと音が出ないようです。(クリックした後でも音が出ないことがあり、動作が不安定で嫌になってしまいます。)特にBGMをタイトルとリザルトで天丼にしたつもりだったのですが、おそらく大半のプレイヤーには伝わっていなかったはずで、大変残念です。
音量調節を最初からつけるべきだった
どうやらUnity1weekの界隈ではついてて当然の機能とされているようなので、最初からつけておくべきでした。事前リサーチが足りませんでした
神クラスができてしまった
これはよくわかんないです。手なりで作ってたら120近くの変数を持つ神が降臨してしまったので、次回のu1wまでに設計を勉強して何とかしようと思います。カジュアルゲーだからといってコードの規模感を見誤っていたというのが原因だと思います。
UIがあまりパッとしない
これは絵描きではない私の弱点なので、たぶん数年単位でどうにかするしかないです。Unity界にはアセットがたくさんあるので絵が描けなくてもナントカなると思っていたんですが、世の中そんなうまい話はないんですねえ……
食べ物が思ったよりもおいしそうに見えなかった
素材サイトの写真ではもっとおいしそうに見えてたはずなんですけど、切り抜いてゲーム画面に配置したらなんかピンと来ませんでした。原因がよくわかんなかったし時間もなかったので放置してしまいましたが、どうすれば良かったのだろうか。
おまけ:既存作品
作ってて思い出した既存作品について少しだけ触れます。今回はあまり既存作品から着想を得たという感じではないのですが、まあそのあれだ、私が好きなものを載せたいだけです。
ボイスで思い出したやつ
月ノ美兎
ウィーン
最終鬼畜全部声
元をたどるとこれだと思う
ぷよぷよ
というか魔導物語ですね(プレイしたことないけど)
ウィッチとフェーリとセリリが好きです。おいっす!
GIGADEEP
ボイスといえばこれ(全部声ではない)
【豪華フルボイス!】所持金がゼロになると爆死するウルファール
ヒァナと同じ回のウディコンに出てたので印象に残ってたやつ
呪いの館
制作中本当に頭にあったのはこれ
「つたえる」で思い出したやつ
灼熱姫・たゆみ・孤独なアルファ
全体的にステストみのあるテーマだと思う
SecreTalk
ドンピシャ。第7回のウディコンの5位
Keep Talking and Nobody Explodesとかも同じ箱
かるかんばぜーしょん
めちゃ面白い。こういうところに説明なしで放り込んでくるゲームを私は愛する
7 Days to End with You
いいよね
最後にちょっとだけお願い
今回のゲームや記事が面白かったと思ってくださった方は、Ci-enを新しく作ったので、そちらの無料プランをフォローしてくださると助かります。Ci-enでは新作「やかまシルフvs賢者の塔(仮)」の制作進捗報告を行う予定です。ほとんどの記事は無料プランで読めるようにします。
ツイッターもやっています。
ただ、ツイッターはいつ凍結するかわからないなあと最近は思っています。それでも良ければフォローしてください。
よろしくお願いします。それでは。